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公費負担医療制度




【公費負担医療制度とは】

病院に通院したときに支払う「一部負担金」と「自己負担額(家族療養費を受ける際の窓口負担)」を軽減してくれる制度です。現在、国(厚生労働省)で定めたものと、地方自治体独自でやっているものと2種類あります。ここでは、国で定めたものを列挙していきます。


【精神疾患などの公費医療】

結核,精神疾患,感染症などのように、特に公衆衛生的な立場から予防と治療を行う必要のある病気については、法律により公費で治療・予防が行われています。これらの公費医療と健康保険等の費用の負担については調整が行われています。

《結核予防法》
1.一般患者に対する医療

一般の結核患者に対して行われた厚生労働省令で定める医療の費用については、都道府県が100分の95を負担できることになっていますが、健康保険等から医療に関する給付をうけられる場合は、その限度まで公費負担は行われないので実際は100分の95と健康保険等の給付との差が公費負担となります。したがって、窓口での患者負担は100分の5となります。

なお、厚生労働省令で定める医療以外の医療を同時にうけたときは、その分については健康保険等で給付されることになるので、公費対象にはならず通常と同様の患者負担が発生します。

2.就業禁止・命令入所患者の医療

飲食業などで特に結核を伝染させるおそれのある患者については、都道府県知事が就業の禁止又は結核療養所への入所を命令することがあります。この入院医療費は公費で負担されますが、健康保険等から医療に関する給付を受けられる場合は、その限度まで公費負担は行われません。

このとき、患者と扶養義務者の負担能力によっては患者の自己負担を求められますが、健康保険等の自己負担を超えることはありません。

《精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)》

医療上の関係で入院させる必要のある精神障害者については、都道府県知事は強制的に入院を命令することができます。この入院医療費は公費で負担されますが、健康保険等から医療に関する給付を受けられる場合は、その限度まで公費負担は行われません。

このとき、患者と扶養義務者の負担能力によっては患者の自己負担を求められますが、健康保険等の自己負担を超えることはありません。

なお、麻薬及び向精神薬取締法による措置入院も同様の扱いです。

☆通院時の医療費公費負担については制度改正が行われ、平成18年4月1日より「障害者自立支援制度」に移行しました。

《感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防・医療法)》

感染症予防・医療法では、入院勧告等による一類および二類の感染症患者の医療費について、健康保険で給付した残りの自己負担分を公費負担しますが、患者や扶養義務者に費用負担の能力があるときはその限度で公費負担は行われません。

1.一類感染症

ペスト,エボラ出血熱,クリミア・コンゴ出血熱,SARS,痘そう,マールブルグ病,ラッサ熱

2.二類感染症
腸チフス,パラチフス,ジフテリア,コレラ,細菌性赤痢,ポリオ(急性灰白髄炎)

《公害健康被害の補償等に関する法律》

企業の事業活動等に伴って水質の汚濁等によって病気になった場合は、この法律により被害者に必要な補償が行われることになっています。この法律による療養の給付または療養費の支給が行われたときは、健康保険等の給付は行われません。また、公害健康被害の補償等に関する法律によると、療養の給付,療養費の他に障害補償費,遺族補償費,遺族補償一時金,児童補償手当,療養手当および葬祭料の規定もあるようです。

※対象疾病
特定地域での慢性気管支炎・気管支喘息・喘息性気管支炎および肺気腫ならびにこれらの続発症,水俣病,イタイイタイ病,慢性ヒ素中毒症

【医療扶助・更正医療など】

国は生活に困っている人に最低生活を保障し、身体障害者,児童,戦傷病者,原爆被爆者など特に保護をする必要がある人たちのために法律を作って福祉の向上を図っています。

この種の法律でも、それぞれの目的にしたがって国や地方公共団体が医療費を負担する制度があり、当該制度と健康保険等の費用の負担について調整が行われます。なお、入院時食事療養費にかかる標準負担額は公費で支給されます。

指定訪問看護が認められている制度については、基本利用料は公費で負担されます。ただし、入院医療のみを給付の対象としている制度では訪問看護療養は認められていません。

《生活保護法による医療扶助》

「他法他施策優先の原則」などに基づき、あらゆる努力をしてもなお生活に困るときは生活保護を受けることができます。生活保護法に規定する医療扶助を受ける場合の調整ですが、健康保険等の給付が優先し窓口での患者負担分が医療扶助の対象になります。なお、高額療養費については現物給付されることになっていますので、窓口での患者負担は必要ありません。

《母子保健法による養育医療など》

未熟児を入院させて養育するための費用,都道府県知事が指定するサナトリウムや病院に入院させて療育する費用については、健康保険で給付した残りの自己負担分を母子保健法および児童福祉法で都道府県が負担することになっています。しかし、当該規定は扶養義務者が費用を支払う能力があるときはその限度で適用されません。

健康保険等の保険給付が行われる場合は、高額療養費については現物給付されることになっています。このため、費用徴収が行われる場合を除いて窓口での患者負担は必要ありません。

《戦傷病者特別援護法》

戦傷病者に対しては、戦傷病者特別援護法で戦争中の公務による傷病について全額国費で医療を受けることができるとともに、必要な補装具が支給されます。

なお、この法律の規定は健康保険等に優先するので、戦傷病については戦傷病者特別援護法の給付を受け、その他の病気については健康保険等の保険給付を受けます。

《原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律》

原爆の被爆者には被爆者健康手帳が交付され、厚生労働大臣が認定した原爆症にかかった場合は全額国費で医療を受けられます。ただし、原爆症については優先的に国費で受けられますが、そのほかの一般の医療等については健康保険等が優先し、窓口での患者負担分についてだけ当該制度の医療給付の対象になります。

健康保険等の給付が行われる場合は、高額療養費については現物給付されますので高額療養費算定基準額以上の負担はありません。

《障害者自立支援法による自立支援医療制度》

平成18年4月1日から障害者自立支援法による自立支援医療制度が始まりました。この制度の施行により、精神保健福祉法の通院医療における公費負担制度,身体障害者福祉法の更正医療,児童福祉法の育成医療については、障害者自立支援法による自立支援医療制度に移行しています。

自立支援医療制度を利用する患者は、原則として診察等にかかった医療費の1割を負担することになりますが、低所得者など一定の要件に該当する患者に対しては、上限額を設けるなど負担軽減があります。

なお、入院時の食費(標準負担額に相当するもの)については、原則として自己負担となっています。

《(難病対策)特定疾患治療研究事業》

特定疾患である難病にかかった場合で、都道府県から特定疾患医療受給者証をの交付を受けたときは、窓口での患者負担分の一部から全部が公費負担の対象となります。なお、高額療養費については現物給付されます。

患者の生計中心者の所得に応じた7区分の段階的な自己負担限度額がありますが、低所得者(市町村民税非課税)の場合は0円となっています。また、重症患者などについては全額公費負担となっています。

一部の疾患(突発性間質性肺炎,SLEなど)については、「治療の結果として疾患特異的治療が必要ない」などの基準を1年以上満たした患者を、「軽快者」としています。軽快者となると、医療受給者証に変わって特定疾患登録者証を交付され、公費負担の対象からも外れます。

☆先天性血液凝固因子障害(いわゆる血友病)などについても類似した制度(窓口での患者負担や軽快者のしくみはない)があります。

《その他の給付》

「独立行政法人日本スポーツ振興センター」による給付もありますし、各市区町村で「ひとり親医療費助成制度」,「乳幼児医療費助成制度」などの給付を行っているようです。

<参考>横浜市における医療の補助

私の住んでいる横浜市の場合、「ひとり親家庭等医療費助成制度」,「小児医療費助成制度」の2つがあります。

1.ひとり親家庭等医療費助成制度

この制度は、公的医療保険制度に加入している「ひとり親家庭等」(母子家庭,父子家庭など)の人が、傷病によりお医者さんにかかった場合における一部負担金について、横浜市が代わって負担する制度です。

以下のA〜Dのすべての要件に該当した人が対象となります。
A.横浜市内に住所があること
B.公的医療保険制度(健康保険法,国民健康保険法など)の被保険者(加入者)であること
C.ひとり親家庭の父母等と、当該父母等に扶養されている児童(原則として、18歳になった日以後最初の3月31日までに限ります)であること
D.一定の所得基準を超えていないこと

なお、県外の病院にかかった場合などで「自己負担が発生したとき」は、お住いの区役所に届け出ることにより払戻しを受けることができます。

2.小児医療費助成制度

横浜市内に住所があり、かつ、横浜市を保険者とする国民健康保険に加入している小児が、傷病により病院に受診したときに、年齢に応じ保険診療の一部負担金を助成する制度です。

なお、1歳以上のお子さんが小児医療助成を受けるには、保護者における所得制限があります。

医療費が助成される範囲は以下のようになっています。
A.0〜5歳児の場合
入院,外来問わず一部負担金相当額が助成されます
B.6歳〜中学卒業までの子の場合
入院時の一部負担金相当額が助成されます。

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